「RIZIN LANDMARK5」でダブルメインカードとして行われた「斎藤裕 vs 平本蓮」。
元RIZINフェザー級王者&元修斗世界フェザー級王者の斎藤裕選手に対し、MMA(総合格闘技)キャリア5選で挑んだ平本蓮選手が判定負けを喫するもMMAファイターとしての強さ・進化を見せつけました。
そんな「斎藤裕 vs 平本蓮」試合後の平本蓮選手の評価をプロ格闘家や格闘技関係者はどう見たのか気になるところ。本記事では「斎藤裕戦後の平本蓮、プロ格闘家の感想・評価」をまとめていきます。
「斎藤裕 vs 平本蓮」試合後の感想&対戦相手の印象
2023年4月29日開催の「RIZIN LANDMARK5」にてダブルメインカードとして組まれた「斎藤裕 vs 平本蓮」。試合結果は判定2-1で僅差をものにし斎藤裕選手が勝利を収めています。
試合内容としては斎藤裕選手が終始前に出て打撃を絡めつつテイクダウンを狙っていき試合の主導権を握っていく展開。平本蓮選手も高いテイクダウンディフェンスを見せカウンターの打撃を当ててダメージを与えていく。
平本蓮選手はやや消極的ながらもMMA(総合格闘技)キャリアたった5戦目で、MMA戦績29戦21勝7敗の「元RIZINフェザー級王者」斎藤裕選手に僅差で迫る進化を見せつけています。
斎藤裕選手の試合後コメント
- 「(平本蓮の試合後の印象)彼が取り組んでいる空手スタイルを向き合って感じたのと、組み技もしっかり練習してきてるなと。強くなってるなと思いました」
- 「効かされた攻撃はなかったんですが、サウスポーで多彩な攻撃で一発一発に殺傷能力があるというか」
- 「(平本蓮がプロ5戦目ということについては)彼はこれから経験積んでもっと強くなっていくと思うんですけど、この試合がステップアップに繋がっていってほしいなとは思います」
- 「(平本蓮選手との再戦については)フェザー級色んな選手がいるので、僕じゃなくて違った組み合わせがいいんじゃないですかね。今試合が終わってすぐに再戦とは考えられない」
平本蓮選手の試合後コメント
- 「いい経験になりました。なんも悔しくない、負けたけど負けてない。とにかく次頑張ります。」
- 「(斎藤裕の試合後の印象)ケージ際の展開でしつこく押しつけてきて、その辺は何もしないって作戦だったので。ブレイクか切り替えてちょこちょこ打撃を当てるのを狙っていた。ダメージは与えてたので、倒しに行く作戦だったら被弾覚悟で倒しに行ってもよかったのかなと思いますね」
- 「入ってくる前に先に打撃を当てる練習をしてたんですけど、実際ドライブ仕掛けられてケージに押し込まれてみて受けて切って殴るというスタンスになってしまったのが良くなかったのかなと」
一夜明けての平本蓮選手は
- 「絶対に這い上がる」
- 「俺は天才じゃない、神だすぐ復活する」
と豪語し普段通りのツイート。この調子なら次戦もすぐに観られるかもしれませんね。
「斎藤裕 vs 平本蓮」プロ格闘家&格闘技関係者の感想・評価まとめ
ここからはRIZIN LANDMARK5「斎藤裕 vs 平本蓮」後の、プロ格闘家や格闘技関係者から見た「MMAファイター平本蓮」の評価をまとめていきます。
「斎藤裕 vs 平本蓮」の感想・評価│朝倉未来(あさくらみくる)
RIZIN LANDMARK5で「斎藤裕 vs 平本蓮」直後にダブルメインカードとして自身も試合をしている朝倉未来選手。朝倉未来選手と平本蓮選手がどちらも勝利していれば「朝倉未来 vs 平本蓮」がついに実現するかも?と注目されていました。
「(平本蓮に)裁判でも試合でも勝つ」と宣言している因縁の相手、朝倉未来選手から見た平本蓮選手の評価は気になるところです。
- 「平本蓮が結構やるなぁと思いました。テイクダウンディフェンス出来てたし、立つのも上手いし急成長してる」
- 「でもあそこから勝っていくのが難しくなっていく」
- 「タイミング次第では平本蓮と試合してもいいですけど、俺にとってはメリットがあまりないんで。RIZIN榊原社長とファイトマネ―の交渉します」
「斎藤裕 vs 平本蓮」の感想・評価│朝倉海(あさくらかい)
朝倉未来選手の弟、朝倉海(あさくらかい)選手。平本蓮選手と朝倉海選手は階級は異なりますが、朝倉海選手は平本蓮選手の試合をどう見たのでしょうか?
- 「平本蓮くんのテイクダウンディフェンスの強さにびっくりしましたね、凄いね。あそこまでテイクダウンディフェンス出来ると思ってなかった」
- 「斎藤裕選手に組まれて寝かされちゃうのかなと思ってて。組まれる前にパンチを当てれたら勝てるのかなと予想していた」
- 「1Rから最後までテイクダウンにしっかり対処していて、倒されても立ち上がる力もかなり成長してる。あの打撃の強さにテイクダウンディフェンスがあればかなり強いのかなと思いましたね」
- 「でも結構待ちだったね。カウンター待ちで自分からは攻めずにテイクダウンディフェンスに徹底して当てる作戦だけど、あれだとテイクダウンする側のタイミングで入っていけるから入りやすくなっちゃう。」
- 「あれだけテイクダウンディフェンス出来るなら、もっと攻めていく方が違う展開になってたのかなと思う」
- 「でもこの短期間に組の対応をしてきたのはバケモンだね」
朝倉海選手も平本蓮選手のテイクダウンディフェンスの強さや短期間で成長してきたことを絶賛。しかしカウンター待ちのスタイルについては「あれだけディフェンス出来るならもっと攻めた方がいい」と苦言を呈しています。
「斎藤裕 vs 平本蓮」の感想・評価│RIZIN榊原信行CEO
興行主であるRIZIN榊原信行CEOから見た「斎藤裕 vs 平本蓮」後の平本蓮評価。
- 「朝倉未来との試合が実現するかどうかはファンが今日の試合を観てどう思うか。平本蓮が斎藤裕に勝ってれば(実現してた可能性は高かった)勝ち方にもよるけど。あとは朝倉未来次第じゃないですか?」
- 「「斎藤裕 vs 平本蓮」の闘い方で朝倉未来と試合しても平本蓮は負けると思う。ファンも含めて「今の平本連なら朝倉未来に勝てるよ」って乗れるタイミングが来れば」
RIZIN榊原CEOは平本蓮選手を評価しつつも今はまだ「朝倉未来 vs 平本蓮」じゃないとの評価。
「斎藤裕 vs 平本蓮」の感想・評価│青木真也
- 「平本蓮さんは弥益ドミネーター戦から「打撃でのカウンター待ち」という自分のファイトスタイルを見つけた。多くの選手はどう自分のスタイルを見つけるのかっていうのに苦労すると思うんですよね」
- 「そこでカウンター待ちっていう自分のスタイルを見つけたことは凄く大きいと思っていて。それによってかなり平本蓮の可能性が広がったと思うんですよ」
- 「カウンター待ちはテイクダウンを切りやすくなる。自分の攻撃力は落ちるんですけど、テイクダウンに固執してくる選手だとテイクダウンをしのぎ切った時に相手が消耗していて自分のターンになる。カウンター待ちは相手の自爆を誘う作戦なんですよ」
- 「カウンター待ちだと自分の加点は少ないけどやられる可能性が凄く減るっていうファイトスタイル」
- 「ただ、カウンター待ちというスタイルを見つけて平本蓮さんは成長したけど、ディフェンシブなスタイルになっちゃった。朝倉未来さんが言うようにここから勝てるようになるのに時間がかかると思うんですよ」
青木真也選手は「カウンター待ちという自分のスタイル」を見つけた平本蓮選手を高く評価。しかしカウンター待ちに徹することでディフェンシブなファイトスタイルになってしまい、ここから勝つのには時間がかかると指摘。
また、「斎藤裕 vs 平本蓮」が判定2-1に割れたことについて「判定3-0で斎藤裕だと思った」と述べ、ダメージは両者無いからアグレッシブの30%を取って斎藤裕選手に付ける。「平本蓮に付けたジャッジは正直理解できなかった」と自身の見解を語っています。
「斎藤裕 vs 平本蓮」の感想・評価│太田忍
「RIZIN LANDMARK5」にて平本蓮選手の直前に行われた、RIZINバンタム級レスリング対決「倉本一真 vs 太田忍」で1R27秒KO勝利しビックインパクトを残した太田忍選手。
両者はフェザー級とバンタム級で階級の違いはありますが、度々トラッシュトークを繰り広げている「犬猿の仲」のため太田忍選手の平本蓮評価は気になるところ。
- 「斉藤豊選手との試合はテイクダウンされなくて評価されてるけど、ずっとケージに押し込まれて漬けられてたじゃん。平本蓮レベルのテイクダウンディフェンスは俺ならテイクダウンできる。カンター待ちなのにタックル入られちゃダメだよね」
- 「空手じゃなくてレスリングやんなきゃ反応できない。でもMMAは強くなってる、あのカウンタースタイルでどこまで行けるのかって感じだけど」
- 「(平本蓮との試合を臨む声に対し)平本君もがんばってんじゃん、でもあのレベルの選手と試合するのは俺にとってプラスにならない。階級も違うし平本蓮もそんな時間ないと思う」
太田忍選手は他の方々の評価とは異なり、「カウンター待ちスタイルで漬けられたりテイクダウンされてるようじゃダメ。俺ならテイクダウンできる。空手じゃなくてレスリングの練習が必要」と辛口評価。
階級的に両者が交わることはなさそうですが「平本蓮 vs 太田忍」も観てみたいですね。
「斎藤裕 vs 平本蓮」の感想・評価│石渡伸太郎
元RIZINバンタム級ファイターでRIZIN漢塾塾長の石渡伸太郎さん。斎藤裕選手・平本蓮選手の両者の練習をサポートしていた視点からの「斎藤裕 vs 平本蓮」の感想・評価は気になるところです。
- 「平本蓮選手のローが速かった。ローで散らしてからのハイをしっかりガードしてた斎藤裕選手もよかった。斎藤君はパンチもらって鼻曲がってたよね」
- 「斎藤裕は1Rからテイクダウンしてたけど、2R以降から平本蓮が倒されても立って最後まで塩漬けされるという展開はなかった」
- 「斎藤裕のこれまで積んできたキャリアが勝敗を分けた」
- 「MMA5選で元修斗王者&元RIZIN王者の斎藤裕にあそこまで健闘した平本蓮もすごかった。両者あっぱれということで」
石渡伸太郎さんは両者と中立の立場なのもあってか、あまりつっこんだ内容には触れず斎藤裕選手・平本蓮選手両者の健闘を称えていました。
「斎藤裕 vs 平本蓮」の感想・評価│大沢ケンジ
和術慧舟會HEARTS代表でABEMAなどの格闘技解説でよく見かける大沢ケンジさんの「斎藤裕 vs 平本蓮」の感想・評価。
- 「平本蓮選手はドミネーター戦を見ると正面からのテイクダウンディフェンスが強いのかと思ってたんですけど、斎藤裕選手が打撃に合わせたカウンターのタックルでも対応してた」
- 「平本蓮のテイクダウンディフェンスはストライカーとしては最高のタックルの切り方を見せていた」
- 「今回の平本蓮選手の敗因はタックルを警戒しすぎて手数が少なくなってたこと。カウンター待ちすぎだった」
- 「打撃の面でのコントロールは平本蓮、試合全体のコントロール&アグレッシブは斎藤裕。手数の少なさで勝敗が分かれた」
- 「あれだけタックル切れるなら手数出して行っても怖がらずに行った方がいい」
- 「他のフェザー級選手からしたら平本蓮は怖い存在になった。タックル行っても切られるし、一回まともに打撃で勝負しないと組めないぞっていうのが見えた」
大沢ケンジさんは「斎藤裕 vs 平本蓮」を的確に分析し斎藤裕選手の経験からくる上手さ、平本蓮選手のテイクダウンディフェンスの強さ&手数の少なさを指摘。
「平本蓮のテイクダウンディフェンスの強さがあれば打撃で手数を増やしても問題ない」としており、今後RIZINフェザー級で対戦する選手からすれば平本蓮は怖い存在になっていくと絶賛しています。
今のテイクダウンディフェンスの強さに倒しに行くアグレッシブさが加わったら平本蓮選手は手が付けられない強さに化けそうですね。
「斎藤裕 vs 平本蓮」の感想・評価│塩田ゴーゾー歩
パラエストラ八王子代表で、鈴木千裕選手のセコンドとしても注目されている塩田ゴーゾー歩さん。鈴木千裕選手のRIZIN連勝を陰で支える名参謀、塩田ゴーゾー歩さんの「平本蓮の評価」は注目です。
- 「平本蓮選手が上手くなってて凄くよかったんですが、斎藤裕選手はドミネーター選手と違いプレッシャー負けしてなかったことが試合結果に出た」
- 「平本蓮選手が打撃の距離でやりたくても斎藤裕選手のプレッシャーが強くて難しかったと思います」
- 「平本蓮選手はMMAファイターとして成長してるんですがカウンター待ちのスタイルで、今後トップどころの選手とやっていくには自分から展開を作れないとどうなのかという問題がある」
- 「判定2-1に割れたのは平本蓮選手の打撃が強いというイメージでジャッジ1人平本蓮選手に入れてるんですけど、試合通してみると斎藤裕選手の判定勝利は妥当」
塩田ゴーゾー歩さんは平本蓮選手のMMAファイターとしての強さを評価しつつも、「今後上位陣に勝っていくにはカウンター待ちだけじゃなく自分から試合展開を作れないといけない」と評価しています。
「斎藤裕 vs 平本蓮」を見た格闘家の感想・評価まとめ
RIZIN LANDMARK5にて行われた「斎藤裕 vs 平本蓮」を観た、プロ格闘家や格闘技関係者の感想・評価をまとめました。
- テイクダウンディフェンスの高さ
- テイクダウンされてからの対応
- 打撃のカウンターの上手さ
など、MMA5戦にしてキャリアで大きく上回る斎藤裕選手と互角に渡り合った「平本蓮選手のMMAファイターとしてのポテンシャルの高さ」を称賛する声が多かったですね。
一方で平本蓮選手が「カウンター待ちのファイトスタイル」で積極性が足りない点を指摘する声も上がっていました。今後テイクダウンディフェンスの強さを活かしつつ、要所要所でアグレッシブに攻めていくスタイルになっていけば化けそうです。
そうなれば平本蓮選手がRIZINフェザー級を席捲する存在になるかもしれませんね。次戦の平本蓮選手のファイトスタイルの変化に注目です。