初期K-1ヘビー級ファイター、シリルアビディ選手の現在についてまとめます。シリルアビディは「マルセイユの悪童」の異名通り、荒々しくアグレッシブなファイトスタイルと甘いマスクで人気を博しました。
そのシリルアビディは現在46歳、ここに来てなんとブレイキングダウン7で安保瑠輝也(あんぽるきや)選手と対戦が噂されています(追記…2/15にこの対戦カードが正式発表されました)。両者にはかなりの年齢差と体格差があり、その辺りも気になりますよね。
本記事ではK-1ヘビー級レジェンド「シリルアビディ」のプロフィール・戦績や現在何をしてるのか、また気になる「シリルアビディvs安保瑠輝也」についても深堀していきます。
シリル・アビディのWIKI風プロフィール(身長・体重・生年月日など)
シリル・アビディ
生年月日 | 1976年2月25日(2023年現在で46歳) |
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出身地 | フランス(ブーシュ=デュ=ローヌ県マルセイユ) |
身長・体重 | 190cm・100㎏超(元K-1ヘビー級ファイター) |
バックボーン | 柔道・空手・砲丸投げ・ムエタイ |
ファイトスタイル | 様子見なしの超アグレッシブなファイトスタイル。粗削りだが身体能力が高く(体が柔らかい)ハイキックも得意。ディフェンスの甘さ&大振りのパンチの多さから黒星も多いが、勝っても負けてもKO決着で魅せるファイター。 |
現在のシリルアビディはすっかり渋みが増し、現役時代のヤンチャなアビディとはまた違った魅力がありますね。スーツが似合う!
シリル・アビディはどんな人物?
シリルアビディは少年時代は荒れていたようで、そのことが由来となり「マルセイユの悪童」というニックネームが付けられます。このニックネームは当時K-1での紹介VTRでも使われていました。
シリルアビディは幼い頃に両親が離婚するなど複雑な家庭環境で育ち、それが原因で「常にイライラしていた、当時はかなり短気だった」と語っています。
- 幼い頃に両親が離婚するなど葛藤を抱えた少年時代を過ごしたアビディ
- 地元でのトラブルは日常茶飯事、4~5人を相手にすることも
- マルセイユで札付きのワルとして有名になり、「マルセイユの悪童」の異名が付く
- 当時シリルアビディはトラブルに巻き込まれることが多かったが、その理由はほとんど友人を助けるためだった
- 地元マルセイユで敵なしの腕っぷしを引っさげ、一獲千金を目指しK-1デビュー
悪童っぷりで有名なシリルアビディですが、甘いマスクのイケメンファイターとしても人気。
ファンサービスも旺盛で男性ファンはもちろん、女性ファンも多い人気者です。シリルアビディはファン対応もかなり真摯なので、リング上でのアグレッシブファイトと普段の紳士な人柄のギャップが好感度高いですね。
ちなみにリュック・ベッソンが制作・脚本の映画「TAXi3」ではロケ地がマルセイユだったため、地元出身のシリル・アビディがゲスト出演しています(犬の散歩をする警察官役)
シリル・アビディの戦績(K-1ヘビー級)
シリルアビディのK-1ヘビー級での戦績は46戦25勝(17KO)16敗(10KO)。TKOも含みますが、戦績からも「勝っても負けてもKO決着の多い」アグレッシブファイターということがわかります。
かつてのK-1ヘビー級はスター性も兼ね備えた猛者揃いの時代。そのなかで25勝あげて勝ち越すのはかなりの実力です。勝ち星のなかには、
- K-1 GP 3度優勝「20世紀最強の暴君」ピーター・アーツ
- 「南海の黒豹」「名勝負製造機」レイ・セフォー
といったK-1レジェンドも含まれます。なかでもピーター・アーツに1RでTKO(右ストレート)、続くリベンジマッチにも勝利したのは衝撃的でした(3度目の対戦では判定負け)。
また、敗れはしたもののK-1ヘビー級の無冠の帝王ジェロム・レ・バンナとの「ケンカ番長対決」やバダ・ハリとの「悪童対決」、「ザ・ビースト」ボブ・サップらとも激戦を繰り広げたシリルアビディ。
ガードの甘さと劣勢になった際に勝負を投げる(集中力が切れる)癖がなければ、当時のK-1ヘビー級でももっと上位に食い込んだかも
シリルアビディは過去にジェロム・レ・バンナと確執が
シリルアビディは血気盛んなK-1現役時代、同じフランス人K-1ファイターの「ハイパーバトルサイボーグ」ジェロム・レ・バンナとK-1の大会セレモニー中や試合直前に乱闘に発展した因縁があります。
①大会セレモニー中にシリルアビディがジェロムレバンナに乱闘騒ぎを仕掛ける
- 2003年6月14日に開催されたK-1 WORLD GP 2003 in PARISにてシリルアビディはK-1ヨーロッパ・ロシア地域予選に出場(当時のK-1は規模が大きく世界各国で本戦への切符を掛けた予選大会委が行われていた)。
- シリルアビディは決勝戦に駒を進めるも「レッドスコーピオン」アレクセイ・イグナショフに3RTKO負けを喫する。
- その大会セレモニーにて犬猿の仲だったジェロムレバンナとシリルアビディが揉め、一触即発の雰囲気に…!
②ジェロムレバンナと対戦する直前、シリルアビディジェロム・レ・バンナが地元で遭遇しトラブルに
- 2005年5月27日に開催されたK-1 WORLD GP 2005 in PARISにて「シリルアビディvsジェロム・レ・バンナ」が因縁のスーパーファイトとして組まれる。
- 5Rまでもつれる大激闘だったが最終ラウンドにバンナの剛腕右フックがクリーンヒットしシリルアビディがダウン、レフェリーストップされシリルアビディがTKO負けを喫する。
- この試合の直前に地元フランスで遭遇したジェロム・レ・バンナとシリルアビディがトラブルになるもバンナの大人な対応で事なきを得る
- ジェロム・レ・バンナは言いがかりをつけられても相手にしなかった。のちにアビディは「バンナは俺を恐れてたから何もできなかったんだ」と語っている
- ジェロム・レ・バンナは無抵抗だったことの理由を「俺は幼い頃から武道を習っていた、武力を試合以外の場所で使うことはない。だから抵抗しなかった」と語っている
- また、この件に関連はないがシリルアビディは試合の直前にバイクで転倒事故を起こし、アビディは首・左足首を負傷した状態でバンナとの試合を行っていた(=万全の状態での試合ではなかった)
その後シリルアビディとジェロム・レ・バンナは和解しており、ジェロム・レ・バンナの試合時にシリルアビディがセコンドに付くほどの仲になっています。
また、シリルアビディが「ザ・ホワイトバッファロー」フランソワ・ボタと対戦した際にも、シリルアビディがボタからダウンを奪うと観戦していたバンナが満面の笑みでスタンディングオベーションを見せていますね。
シリルアビディとジェロム・レ・バンナはリングで拳を交えて親友になった模様
ちなみにK-1 WORLD GP 2005 in PARIS「シリルアビディvsジェロム・レ・バンナ」でのバンナの強さについてシリルアビディは「今日のバンナは信じられないくらい強かった」と認めています。
一方のジェロム・レ・バンナも「あいつ(シリルアビディ)とのことは色々あったが、今日の試合で終わったんだ」と笑顔で語っている。
シリル・アビディの現在は?46歳で16年振りにリングで復帰戦
シリルアビディは2007年に横浜で行われたK-1での試合を最後にリングを降りています(これが事実上の引退試合)。それからベーカリー工房(パン屋)の経営、フィットネスジムの経営とビジネスを展開。
そしてK-1での最後の試合から16年経った今、46歳にしてブレイキングダウンに参戦という衝撃の展開を迎えています。
- 2007年3月4日に行われたK-1 WORLD GP 2007 IN YOKOHAMAにて野田貢と対戦、2Rにスタンディングダウンを奪われ判定負け(その後K-1には参戦せず事実上の引退試合)
- K-1時代の終盤にAbidi SARLというパン屋を経営(現在は売却している)
- 現在は「Le Gym Plan de campagne」というフィットネスジムを経営
- 2023年2月19日に朝倉未来プロデュースの格闘イベント「ブレイキングダウン7」にて16年振りにリングに復帰の噂
- シリルアビディはこの時点で46歳
ジムでキックのトレーニングを再開するシリル・アビディ。2017年にはリングでの復帰戦を目指し、格闘技のトレーニングを再開しています。
ブレイキングダウン7で「シリルアビディvs安保瑠輝也(あんぽるきや)」決定!
2023年2月19日(日)に幕張メッセにて開催のブレイキングダウン7。そこで「シリル・アビディ vs 安保瑠輝也」の対戦カードが組まれると噂されています。(追記…2/15に正式決定)
/#BreakingDown7
— BreakingDown / ブレイキングダウン (@breakingdown_jp) February 15, 2023
対戦カード発表📣
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🥊無差別級スペシャルワンマッチ🥊#シリル・アビディ 選手
🆚#安保瑠輝也 選手(@anpo_rukiya)
🗓2/19(日) 11:00開始予定
🔻前売りPPV・現地観戦チケット購入はこちら
🔗https://t.co/FFYkMKdITh pic.twitter.com/1Eb02qnedQ
追記…2/15に「シリルアビディ vs 安保瑠輝也」が無差別級ワンマッチとして正式発表されました!「シリルアビディ vs 安保瑠輝也」は体重差25㎏の無差別級での試合(1分3ラウンド)になります。
この試合はブレイキングダウン7のメインカードとのこと。
(2/14時点では)ブレイキングダウン公式からは安保瑠輝也選手の参戦のみ発表されている状態でした。しかし海外の格闘技メディアがシリルアビディのブレイキングダウン7への参戦をリークしており、シリルアビディ自身も動画でリングへの復帰について語っています。
インスタグラムにアップした現在の写真ではジムでサンドバック打ちをする様子が↓
顔つきは年相応になっているものの、身体つきは46歳の現在でもかなり絞れていますね
グッドシェイプな身体から普段からの摂生とトレーニングを積み重ねている事がうかがえます。シリルアビディは190cm/100㎏以上のヘビー級の体格なので写真からもミドルキックの重さが伝わりますね。
シリルアビディvs安保瑠輝也(あんぽるきや)にはかなりの年齢差・体格差がある
シリルアビディと安保瑠輝也(あんぽるきや)選手の間にはかなりの年齢差・体格差があります。実際に向かい合ってみると身長差はさほどないようにも見えますが、身体の厚みは一回りかそれ以上シリルアビディが上回っているのが分かります。
現役の選手とやるつもりで動いてたけど、それは叶わなくて申し訳ない!
— 安保瑠輝也 あんぽるきや (@anpo_rukiya) February 15, 2023
でかい相手でも攻撃的スタイルで
必ず熱い試合を約束します。 pic.twitter.com/FtYX3ubwrP
- シリルアビディ…190cm/106㎏/46歳(ヘビー級)
- 安保瑠輝也…180cm/67.5㎏/27歳(K-1ウェルター級での試合時体重)
- 身長差10㎝/体重差30㎏以上/年齢差19歳(ブレイキングダウンでの試合時は体重差25㎏とのこと)
- 現役時代と比較してもシリルアビディと安保瑠輝也にはスピードとテクニックに差がある
- シリルアビディが安保瑠輝也のスピードに付いていけるか、スタミナは持つかどうか見どころ
- 逆に現役バリバリの安保瑠輝也にとっても30㎏の体重差はかなり危険な試合になる
シリルアビディは2007年に行った現役最後の試合(K-1 WORLD GP 2007 IN YOKOHAMAで野田貢に判定負け)から16年振りの復帰戦。スタミナの低下や試合勘が鈍ってないかが気になります。
3分3ラウンドのK-1とは異なりブレイキングダウンでは1分1ラウンド(延長あり)というルールの違いがあります。1分だけなら現役時代に見せていたアグレッシブな喧嘩ファイトが見れるかもしれませんね。
延長戦にもつれ込めば16年のブランクの影響と46歳という年齢からスタミナ切れを起こし、一気に安保瑠輝也(あんぽるきや)選手ペースになる可能性も
30㎏以上の体重差はかなり危険ですが、安保瑠輝也(あんぽるきや)選手は元K-1王者でスピード&テクニックではシリルアビディを上回っています。
一発の破壊力のシリルアビディかスピード&テクニックの安保瑠輝也か、緊張感のある試合になりそうです
「シリルアビディ vs 安保瑠輝也」について両選手と朝倉未来のコメント
「シリルアビディ vs 安保瑠輝也」対戦カード発表動画にて両者の語った意気込み、対戦相手への印象は以下の通り。(+ブレイキングダウンプロデューサーの朝倉未来さんのコメントも)
安保瑠輝也(あんぽるきや)
- (ブレイキングダウンに出場するに至った経緯は?)YouTubeチャンネルのメンバー2人がブレイキングダウンに出てみるみるうちに注目度が上がった。自分もブレイキングダウンに出て多くの人に自分の試合を見てもらいたいなと思ったのが理由
- ただ、格闘家として強さを追い求めていくことには変わりない、自分が対戦しても「もしかしたら負けるかも」というようなスリルある試合をするために今回でかい相手(シリルアビディ)とやることになりました
- 今後MMA参戦も視野には入ってるが今確実にやりますって言うほどの覚悟はないです
- シリルアビディとの試合は現役を退いてるといっても1分間の勝負なんで現役時代に近いパフォーマンスを出してくると思う。そこに怖さはあります
- (実際にシリルアビディと対面してみて)大きいですけど、正直思ってたよりは怖さは感じない
- 実際に会ってみてリスペクトの気持ちが上がった。リスペクトを込めて1ラウンドから攻め続けてKOして勝ちたいと思います
シリル・アビディ
- 日本に来るのは現役時代の2007年振りで嬉しく思っている
- 日本のK-1王者との対戦なんて僕はかなり期待されてるみたいだね。再びリングに上がれることにワクワクしてるよ
- (1分3ラウンドでの試合について)自分に有利に働くルールだと思っている(1分間という短さなので初めから全力で闘えるため)
- (安保瑠輝也選手への自信は?)それは当日のお楽しみだね(と余裕の笑顔)
- (安保瑠輝也の印象は)正直強そうだなという印象はないね。元々日本人や日本の文化が好きだから恐怖を覚えづらいのかもしれないけど
- 俺が見せるのは「勝つための試合」それ以外の何物でもない
朝倉未来
- ブレイキングダウンは格闘技のプロ・アマチュアの腕自慢・お笑い担当、この3軸がまとまった大会にしたい
- ブレイキングダウンで最も視聴率が取れてるのは試合じゃなくオーディションの舌戦
- そこに格闘技のにわかファンが入ってきた所に安保選手のようなトップファイターの凄さを見せて、にわかファンから本当の格闘技ファンになる流れができることに期待したいと思ってます
- 安保瑠輝也選手はブレイキングダウン専属になるわけじゃなく、あくまで今後RIZINだったり他の格闘技団体に出場していくことがメイン
2/18に行われたブレイキングダウン7前日会見で安保瑠輝也選手は
- 「朝倉未来さんのYouTubeチャンネルで初めて顔を合わせた時の印象ではあんまり自信ないのかなと思ってた」
- 「俺も全力で倒しに行くんで本気のシリルアビディで来てくれ」と意気込みを語っています。
これに対しシリルアビディは「俺がビビってるように見えるかい?」と余裕の笑み。
ピリピリした表情の安保瑠輝也選手と終始自然体で余裕の雰囲気のシリルアビディ、対照的な様子
「シリルアビディvs安保瑠輝也」試合結果|安保が4度ダウン奪いKO勝ち!
2/19ブレイキングダウン7のメインカードで行われた「シリルアビディvs安保瑠輝也」の試合結果速報です。体重差が25㎏以上あり、不利な条件ながら安保瑠輝也選手がシリルアビディに圧倒的な強さを見せつけ3ラウンドKO勝ち。
シリルアビディも現役時代よりはさすがに動きのキレが落ちている印象は否めませんでしたが、46歳とは思えないアグレッシブな攻めの姿勢を見せている。
安保瑠輝也選手は1ラウンドに2度ダウンを奪い、続く2ラウンド・3ラウンドにもシリルアビディから1度ずつダウンを奪取。4度目は立てず即レフェリーストップ。
シリルアビディは107.7㎏、安保瑠輝也は80.6㎏と軽量時の体重差は約27㎏差。安保瑠輝也選手は普段より10㎏以上増量しており、スピードはもちろん打撃のパワーでもシリルアビディを圧倒。
- 1ラウンド早々シリルアビディが前に出て左右のフックを大振り、安保瑠輝也も打ち合いに応じる
- シリルアビディのフックにカウンターを合わせペースを握る安保瑠輝也の右オーバーハンドフックがクリーンヒットしシリルアビディは後方に尻もちをつきダウン
- 何とか立ち上がるシリルアビディに速攻で空手仕込みの飛び蹴りが顔面に入り連続でダウンを奪う安保瑠輝也
- シリルアビディはゴングに救われ2ラウンドに。2ラウンド目はガードを高くしつつ前進するアビディ、ダメージがあり動きが落ちている
- 安保瑠輝也は余裕を見せハイキック・二弾蹴り・ローと多彩な蹴り技でシリルアビディを圧倒、速射砲のようなパンチ連打がカウンター気味に入りシリルアビディが3度目のダウン
- 最終3ラウンドにはシリルアビディは防戦一方になりパンチでテンプルを撃ち抜かれレフェリーストップ
- 1ラウンドのダウン後からは安保瑠輝也のスピード・手数がどんどん加速し「マルセイユの悪童」シリルアビディに完全勝利、新旧K-1対決を制した
- 「少しシリルアビディを舐めてました。46歳なので身体能力がもっと落ちてると思っていたがハンドスピードは落ちてなかった」
- 「シリルアビディはずっと前に詰めてきて、アグレッシブファイトをしてくれた」
- 「スピードのあるパンチで開始15秒くらいで1発貰ってクラッと効かされた。そこから試合内容をあまり覚えてないです」
- 「シリルアビディは思ってた5倍くらい強かった、勝ててほっとしました」
K-1レジェンドのシリルアビディがあまりいいところを見せれずにKO負けしたのは残念ですが、安保瑠輝也選手はブレイキングダウン7のメインカードを飾るにふさわしいスピード・パワー・テクニックを魅せてくれました。
次はRIZINに参戦して階級が同じ現役選手同士のヒリヒリするような試合に期待したいですね。